Cynicalexposure#1 ショーン・レイナート インタビュー


Sean Reinert 1995 in Miami

(※このインタビューは1994年の春頃のものです。)

 

シニックのデビューアルバム「フォーカス」が発売されて約半年が経つ。
”プログレッシヴ・デスメタル”と称されたこのアルバムは
従来のデスメタルとは違い、アグレッシブさ獰猛さをギリギリにミックスし、
フュージョンなど他の音楽形態も取り入れ綿密に織り上げた完成度の高いメタル・アルバムに仕上がってると思う。
既成のメタルの概念に捕らわれない人達にもっと広く知って欲しいと思うし、
自分自身、バンドがどんな風にアルバムを作ったのか興味があったので、
簡単なインタビューを取ってみました。
答えてくれたのはバンドの創設メンバーの一人でドラムス/キーボードプレイヤーのショーン・レイナート。

ーさて、ついにデビューアルバムが出た訳だけど、満足している?

ショーン:「フォーカス」が発売された事には本当にわくわくしてるよ。
このプロジェクトに込められた長い時間と全ての労力・努力は最終的に作品として世の中に出た時に価値が出来るんだ。

ーアルバム全体を通してのコンセプトってあるんでしょうか?

ショーン:「フォーカス」には目指していた幾つかのコンセプトがあった。
俺達は、音楽的にも詩的にも曲そのものを出来る限り力強いものにした”何か”を作り上げたかったんだ。
結果的に、コンセプトを付与するのを最小限にとどめたのは、
聴き手それぞれの音への接し方自由の方を重要視したのと、
単にこちらが理論よりも音楽性重視にしたかったからだ。

ーロードランナーレコーズ(シニックのアメリカでのレーベル)への前渡しのデモテープから
今度のアルバムへ、曲はどんな風に進歩して行ったんだろう?

ショーン:君の言う”前渡しのデモ”って意味が分からないんだけど、’91のデモテープの事を言ってるなら、それから音は180度変化したよ。
あのデモを作った頃から皆、音楽的に成長したし、
人生観も音楽に対する姿勢も音楽それ自体も確実に変化した。俺自身もあれからかなり成長したって言えるんじゃないかな。
その2つの音の間のブランクは俺達の妨げになったと言うより、むしろ助けになってくれたよ。
その空白の時間にもし意味をつけるとしたら、俺達が本当に言いたかった事を練り直す時間をくれた、とでも言うか。

ーどうして、曲にキーボードを使おうってアイディアが出たのかな?(それまで使った事が無かったのに)

ショーン:実は小さい頃、一番最初に弾いてたのがピアノなんだ。だけどそれから3年後にはドラムスに転向していたよ。
俺はいつも…まあ、ただ単に、それをもて遊んでたりしてただけなんだけど、今は真剣に取り組んでいるよ。
その他にも俺はメロディを作ったりそれをアレンジしたりするのが好きなんだけど、
そういうものを今回の「フォーカス」制作につぎ込むチャンスがあったって訳さ。
ピアノとパーカッションってのはかなりの共通点があるよ。リズムを叩き出すっていう点と独立した楽器である、っていう点で。
実際のところ、打楽器とみなしていいんじゃないかな。

ーこの全く新しい音と、ユニークなスタイルの変化が、今までのファンをも引き付けられると思いますか?

ショーン:時々は、これでファンの何人かを失うかも…と心配もするけど、でももう一方では、ファンが気に入ってくれるのは当然だ!とも思う。
だけど確実に、俺達自身は気に入っているよ。

ー貴方達の曲作りの始まりってどんなの?

ショーン:俺達みんなが集まった時に、曲のアイディアや途中まで作ってある曲を持ち寄って、
それを出しあって最高のものに仕上げる。
皆それぞれ公平に意見を言う機会もあるし、いつもすごく検討しあうんだ。

ーCYNICはインストゥルメンタル・アルバムを出せる位、テクニックも独創性もあるバンドだと思うけど、そうすると貴方達にとって”ヴォーカル”ってのはどのくらいの意味を持つのでしょうか?

ショーン:このタイプの音楽にとっては声も楽器の一部になってて、この歌が何についての歌か、何にインスパイアされたか観客に知らせる程度の意味しか無いけれど、
自分達は従来のアグレッシブなやり方が表現する激しさだけでなくて、メロディのあるヴォーカルも加えたかった。
この分野は広げたい”何か”があるし、まだまだ開拓の余地もあるよ。

ー貴方はドラムスを始めて何年になるんでしょう?また、どうしてドラムスをプレイし始めたの?

ショーン:10歳の時に始めたんだから、もう12年になるね。
俺は未だに、これが自分に何をもたらしたのかは
はっきりと判らない。俺は自分の中に生まれながらのリズムを持ってて、
それを叩き出したい強い欲求があったんだ。ー俺はいつだってずっと音楽に興味を持ってたんだよ。

ー貴方が音楽以外に興味のある事って何でしょうか?

ショーン:実際の所、ドラムを練習したり学校へ通ったり、
その他、音楽に関係した事以外はそんなに沢山のことはしていないんだ。
愛犬がニ匹いて彼等と遊んだり、コンピュータに熱中したり、
時々…姉さんと姉さんの旦那と一緒に水上スキーをしに行ったり、それぐらいかな。
俺って退屈でつまらない奴なんだ!

ー最後に何かひと言。

ショーン:君の読者に話を聞いてもらえる機会をくれてありがとう。
いつか日本でプレイ出来るのを楽しみにしてるよ!