ポール・マスヴィダル インタビュー1994

in Buffalo 1994
※これは1994年7月発行のファンジンPoison childの8号に掲載されたインタビューの再録です。

ーさあ、ついにデビューアルバムが日本でも発売された訳だけど、今どんな気分?

ポール:凄く嬉しいよ。今、世界中の人達が自分達の音を聴けて、そしてより沢山の人達にそれを届けられるんだから。

ーアルバムの事を話して下さい。そしてどうして”フォーカス”ってタイトルなの?

ポール:アルバムは全部で8曲入りで、表現豊かで色鮮やかでとにかくユニーク。
アルバムタイトルの”フォーカス”は、自分達が今アーティストとして、
音楽っていう媒体を通じて”表現”の中に俺達の持っている力の全てを結集させた、そういう所から決めたんだ。

ーロードランナーへのアドヴァンス・デモに比べると大幅に音が変わったよね?

ポール:そうだな、より成長したって言えるね。曲作りも前よりももっとまとまっているし。
アレンジも楽器の編成もより興味深いものになってる。

ースタジオがあのMorrisound Recordingsで
共同プロデュースとエンジニアリングがスコット・バーンズってのは
私達にはすごくお馴染みなんだけど、その利点ってある?

ポール:うん、彼はバンドの親しい友達で、尚且つレコーディング作業に
たくさん情熱を注ぎ込んでくれる人だから、完成品のクオリティも高くて安定してるんだ。

ー私は個人的に音楽を言葉で表すのはすごく難しいと感じているんだけど、
もし君があえて言うとしたら、自分達の音を何て表現する?

ポール:実験的で、カラフルで、フュージョンテイストの、表現豊か、時には凄くアグレッシブで、
また時には和らいで優しい、異なった魅力のある音楽、かな。

ーありがとう。ところで日本のロックファンって欧米のファンと比べて
好きなバンドのメンバーそれぞれにより強い関心を向けてる様に思えるんだ。
例えばこちらのファンの中には何処のバンドのメンバーが脱退した、ってニュースを凄く悲しむ子もいるし…。
彼等は好きなバンドに対して特別な気持ちを抱いてるみたい。そういうのをどう思う?

ポール:それを聞いた限りでは日本のファンはお気に入りのバンドに対して
親しみとか友達感覚でいるみたいだね。バンドに関すること全てを知りたがったりとか。
それに比べて欧米のファンは、ただそのCDだけで満足してる感じかな。

ー個々の演奏技術の高さに加えて、神秘的で感情に深く入り込む様な歌詞が
シニックの大きな特徴だと思うんだけど、君は”言葉の力”を信じてる?
そしてそれが聴く人の心にまっすぐ届くと信じてる?

ポール:もちろん。歌詞は音とまったく同じくらい大事だから。
それにメッセージの無い言葉が一体どうやって感動を引き起こせるんだい?

ーシニックと言えばやっぱりDEATHのHumanアルバムのラインナップを思い出してしまう訳だけど、
あれは君達にとってどんな経験でしたか?

ポール:あれは凄く良い経験だったよ。ミュージックビジネスそのものについてや
レコーディングやツアーについても実に多くの事を学べたし、
自分達に関心を持って貰う為にも貴重で有り難い経験だった。

ー何か、ちゃんとした音楽教育を受けてた事ってある?

ポール:うん。16歳の頃からクラッシックギターを習っているし、
ここ4年間は大学で音楽理論とジャズのコースを取って勉強してるんだ。

ー日本のアンダーグラウンドでプレイしてるキッズに何かアドバイスするとしたら?

ポール:今の個性的なままで居続けろ。自分の楽器を集中して気持ちを込めて練習して、
音楽という表現を通じて心の自由を見つけて欲しい。それから沢山プレイして出来るだけ多くの注目を集めるんだ。

ー最後に、日本のファン…と言うか友達に何かメッセージを。

ポール:サポートしてくれて本当にありがとう。そっちに行ってプレイしたいよ!ありがとう!